
僕はチョークさんが苦手だ。いや、嫌いだ。知り合って何年にもなるが、当初から一貫して苦手だ。
チョークさんは元教師だ。だからあだ名がチョーク。元教師なのに、いや元教師だからなのか、妙に人の懐へ土足で入ってくる。
デリカシーがない。人の気持ちを読む前に、先に言葉が出る。周囲の空気をなぎ倒して、本人だけは平然としている。
たぶん本人に悪気はない。そこがまた厄介だ。悪意があれば距離を取ればいい。だが悪意がないノーデリカシーは、妙に長く残る。
それでも、彼には強烈な長所がある
そんなミスターノーデリカシーにも、はっきりした長所がある。
外交だ。
チョークさんは、すぐに話をまとめてくる。強引に。普通の人が「ここまで言ったら失礼かな」と止まるところで止まらない。
だから、ボランティアや福祉事業の外交ではかなり強い。相手の温度を細かく読みすぎないから、話が早い。断られることを怖がらないから、次の一手が早い。
近くにいる側からすると迷惑でも、外に向けて何かを取りに行く場面では、その強引さが武器になる。
ひとつの性質には、光と影がある。 悪いところにも長所があり、良いところにも短所がある。
インジケーターも同じではないか
ここで、ふと思う。インジケーターも同じではないか。
ある人は移動平均線を信じる。ある人はRSIを見る。ある人はMACDを使う。
そして、うまくいかなかった時にこう言う。
「このインジケーターは使えない」
でも、本当にそうなのだろうか。使えないのではなく、その性質が活きない場所で使っているだけかもしれない。
道具には性格がある
移動平均線は、流れを見るには便利だ。価格が大きな流れの上にいるのか、下にいるのか。相場の方向感をざっくり掴むには使いやすい。
しかし、レンジの中では遅れる。価格が行ったり来たりしている場所で移動平均線だけを見ると、上だと思った瞬間に下がり、下だと思った瞬間に上がる。
移動平均線
流れを見るには便利。ただしレンジでは判断が遅れやすい。
MACD
勢いの変化を見るには便利。ただしサインが出た頃には遅いこともある。
RSIも同じだ。買われすぎ、売られすぎを見るには役に立つ。行きすぎた値動きを冷静に見るきっかけになる。
でも、強いトレンドでは買われすぎのまま上がり続ける。売られすぎのまま下がり続ける。
そこで「買われすぎだから売り」と決めつけると、相場に逆らい続けることになる。
良い悪いではなく、どこで使うか
結局、どのインジケーターにも光と影がある。
問題は、そのインジケーターが良いか悪いかではない。その性質を理解しているか。どの場面で強く、どの場面で弱いのかを知っているか。
ここを見ずに「このインジは使える」「このインジは使えない」と決めてしまうのはもったいない。
チョークさんを見ていると腹が立つ。だが、外交の場に立たせると妙に強い。
それと同じで、普段は邪魔に見える性質も、正しい場所に置けば武器になる。
トレードでやるべきこと
トレードで大事なのは、道具を増やすことではない。
道具の性格を知ることだ。そして、その性格が活きる場面だけで使うことだ。
インジケーターを足す前に、まず考えたい。
この道具は、どんな相場で強いのか。
逆に、どんな相場で弱いのか。
その答えがないまま使えば、便利な道具も判断を濁らせる。逆に、性質がわかっていれば、クセの強い道具でも武器になる。
まとめ
人付き合いも、インジケーターも、結局は相性と配置なのかもしれない。
嫌いな性質にも、使いどころがある。便利な道具にも、危ない使いどころがある。
だから、道具を信じすぎない。そして、道具を嫌いすぎない。
まずは性格を知る。その上で、活きる場所に置く。
それができた時、インジケーターはただのサインではなく、相場を見るための補助線になる。
※本記事は相場の見方を整理するための学習コラムです。売買を指示するものではありません。