月曜の朝、週末前の価格から離れて始まる「窓開け」。トレード界隈ではよく「窓は埋まる」と言われます。では、それはどの程度データで確認できるのでしょうか。
この記事の結論
月曜窓は、たしかに週末前の価格へ一度戻りやすい傾向があります。ただし、それは「勝率」ではありません。特にGoldの大きな窓は、戻る前の逆行が大きくなりやすく、安易な窓埋め狙いは危険です。
今回見たデータ
対象は、Gold(XAUUSD)・USDJPY・EURUSDの月曜窓です。
- 対象期間:2021年8月16日〜2026年8月10日
- 対象週:各261週
- データ:実Bid/Askティック由来
- 窓の定義:週末休場前の最終中値と、再開後の最初の中値との差
- 窓埋めの定義:再開後、中値が週末前の中値へ一度到達したか
ここで見ているのは、あくまで「価格が一度戻ったか」です。実際の注文が利益になったか、損切りに耐えられたか、スプレッドや滑りを含めてプラスだったかは測っていません。
全体では、月曜窓は戻りやすい
まず、同じ週のうちに週末前の価格へ一度戻った割合を見ると、かなり高い数字が出ています。
| 銘柄 | 窓幅中央値 | 24時間以内 | 同週 | 28日以内 |
|---|---|---|---|---|
| Gold / XAUUSD | 13.55 pips | 87.7% | 93.5% | 97.3% |
| USDJPY | 7.1 pips | 88.5% | 95.0% | 98.1% |
| EURUSD | 4.55 pips | 88.8% | 96.6% | 98.1% |
この数字だけを見ると、「やっぱり窓は埋まりやすい」と感じると思います。実際、価格現象としてはそう言えます。
ただし、ここで止まると危ないです。
「戻る」と「勝てる」は違う
窓が埋まったというのは、「価格が週末前の水準に一度戻った」という意味です。
でも、トレードではそれだけでは足りません。
ここまで含めて初めて、実際のトレードとして成立するかを考えられます。
料理で例えると、魚は焼ける。でも火加減を見ないと焦げる
月曜窓は、料理で言えば「この魚は焼けばだいたい食べられる」という話に近いです。
たしかに魚は焼けば食べられます。でも、火加減を見ずに強火で放置すれば焦げます。焼き始めるタイミングが悪ければ、表面だけ焦げて中が生のままになることもあります。
窓埋めも同じです。
「戻りやすい」という性質はある。けれど、窓幅、スプレッド、逆行幅、戻るまでの時間を見ずに入ると、最終的に戻ったとしても途中で耐えられないことがあります。
Goldは、大きな窓になると性質が変わる
今回のデータで特に重要なのはGoldです。Goldは全体では同週窓埋め率93.5%でしたが、窓の大きさで分けると差がはっきり出ています。
| Goldの窓幅区分 | 同週窓埋め率 | 対象数 |
|---|---|---|
| Q1 small | 100.0% | 66 |
| Q2 | 96.9% | 65 |
| Q3 | 95.4% | 65 |
| Q4 large | 81.5% | 65 |
小さい窓はかなり戻りやすい。一方で、大きな窓は同週で81.5%まで下がっています。
さらに重要なのは、戻る前の逆行幅です。
- Gold全体の逆行幅中央値:10.5 pips
- Gold大窓だけの逆行幅中央値:170.1 pips
- Gold大窓のP90逆行幅:1497.6 pips
つまり、大きな窓は「戻らないことが増える」だけではありません。戻るとしても、その前に大きく逆へ走る可能性があるということです。
窓埋めを考えるなら、見るべき順番
月曜窓を見るときは、ただ「窓があるか」だけでは足りません。
- まず、窓の大きさを見る
- 次に、銘柄の特徴を見る
- スプレッドが落ち着いているかを見る
- 戻るまでにどれくらい逆行しそうか考える
- どこを抜けたらシナリオ崩れか決める
特にGoldは、月曜開始直後のスプレッドや値動きが荒くなりやすい場面があります。小さな窓と大きな窓を同じものとして扱わないことが大切です。
初心者が避けたい考え方
一番避けたいのは、「窓は埋まるらしいから逆張り」という考え方です。
これはデータを使っているようで、実際にはデータの一部だけを見ています。
今回の数字から言えるのは、月曜窓は研究する価値のある価格現象だということです。売買サインとしてそのまま使える、という意味ではありません。
まとめ
月曜窓は、たしかに週末前の価格へ戻りやすい傾向があります。
ただし、戻る率とトレードの勝率は別物です。特にGoldの大きな窓では、同週に戻る割合が下がり、戻る前の逆行も大きくなりやすい結果でした。
窓埋めは、魔法ではありません。条件を選べば研究対象になる価格現象です。
数字を見るときほど、「その数字は何を測っていて、何を測っていないのか」を分けて考えることが大切です。