裁量トレーダーの視点 × AI検証
オープンチャットでは、実際の相場データを使って、短期的に数値が残ったロジック候補を何度か紹介してきました。
この記事では、その中から勝率・PF・複数期間での残り方が目立ったものをまとめます。
大事なのは、ここに載っている条件をそのまま真似することではありません。どんな相場で、どんな偏りが出た時に、どんなロジックが機能しやすかったのかを見ることです。
ここで紹介するものは、過去データ上で目立った「研究候補」です。将来も同じ勝率やPFになることを保証するものではありません。短期検証・少数サンプル・パラメータ探索による過剰最適化の可能性があります。
まず、PFとは何か
PFは「プロフィットファクター」の略で、利益の合計を損失の合計で割った数字です。
たとえばPFが2.0なら、検証上は損失1に対して利益2が出ていた、という意味です。ただし、取引回数が少ないと数字は大きくブレます。
1. Gold / XAUUSD:M15 EMAクロス系ロング
対象はXAUUSD。2026年8月11日〜8月20日の高品質tick、約190万tickを使った検証です。
エントリーは、確定足でEMAクロスを確認したあと、次の実Bid/Askティックで約定。TPは15ドル、SLは20ドル、最大保有は12時間。実スプレッド、手数料、fill逆行コスト、ニュース前後の除外も含めた条件です。
| 候補 | 取引数 | 勝率 | PF | 見方 |
|---|---|---|---|---|
| M15 EMA13 / EMA18 ゴールデンクロス | 11回 | 81.8% | 3.356 | 短期EMAの上向き転換が目立った候補 |
| M15 EMA8 / EMA29 ゴールデンクロス | 11回 | 81.8% | 3.355 | 同じくM15ロング側で数値が残った候補 |
| M15 EMA10 / EMA44 ゴールデンクロス | 10回 | 80.0% | 2.994 | 2週間程度の短期検証 |
共通しているのは、Goldの短期検証ではM15のロング側に数字が出ていたことです。単に「EMAクロスが強い」のではなく、その期間のGoldが上方向の偏りを持っていた可能性があります。
2. Gold:EMA8/34 + EMA21上昇ロング
こちらは、2026年8月7日〜8月20日のXAUUSD Bid/Ask tick約234万件を使った検証です。前半を探索期間、後半を確認期間に分けています。
- 時間足:M15
- 条件:EMA8がEMA34を上抜け
- 追加条件:EMA21が上向き
- 方向:ロング
| 期間 | 取引数 | 勝率 | PF | 損益 |
|---|---|---|---|---|
| 探索期間 8/7〜8/14 | 8回 | 87.5% | 5.05 | +4.20R |
| 後半確認 8/15〜8/20 | 5回 | 80.0% | 2.95 | +1.97R |
この候補のポイントは、ただのゴールデンクロスではなく、EMA21の向きで背景を絞っていることです。料理でいえば、火が通りやすい材料だけを選んでから炒めるようなものです。
3. Gold:CCI + EMAの上向き転換型
直近10日間の実tickデータで、CCIとEMAの組み合わせを10,000通り検証した中で目立った候補です。
結果は、合計16回中13勝3敗、勝率81.25%、PFは区間別で3.00 → 3.40 → 3.00でした。
狙いは、Goldが一度弱くなったあと、15分足で再び上向きに勢いを戻す場面です。押し目が終わったかもしれない場所で、買いの勢いが戻るかを見るロジック候補です。
4. Gold:RSI + ATRの落ち着いた反発型
同じくGoldの直近10日間を対象に、RSIとATRの組み合わせを10,000通り検証した候補です。
- 時間足:M15
- 条件:RSI(24)が55を下から上へ抜ける
- 追加条件:ATR(21)が過去96本のATR中央値の1.1倍以下
- 方向:ロング
検証では5回、勝率80.0%、PF2.93。追加確認でも5回、勝率80.0%、PF2.99でした。
これは、荒れすぎた相場ではなく、値動きが落ち着いた中で買いの勢いが戻る場面を探す候補です。ボラティリティが強すぎる場面ではなく、再加速しやすい火加減を探しているイメージです。
5. Gold:一目均衡表 + EMAのロング候補
GoldのM5で、一目均衡表とEMAを組み合わせた候補も出ています。
- 時間足:M5
- 条件:一目 10/30/60 の転換線が基準線を上抜け
- 追加条件:終値が雲の上
- 追加条件:EMA8 > EMA42、かつEMA8が上昇中
- 決済:TP 15ドル / SL 20ドル / 最大12時間
| 区間 | 取引数 | PF |
|---|---|---|
| 発見 | 6回 | 3.6552 |
| 検証 | 9回 | 1.4615 |
| 擬似ホールドアウト | 5回 | 2.9609 |
ただし、20取引・1万通りからの選択です。数字は目立ちますが、次の期間で同じ条件を固定して追跡する段階です。
6. USDJPY:EMA30 / EMA174 デッドクロスショート
USDJPYでは、下方向へ勢いが出た局面を追う候補がいくつか出ています。
- 時間足:M1
- 条件:EMA30がEMA174を下抜け
- 追加条件:クロス確定足が陰線
- 方向:ショート
- TP:15pips / SL:20pips / 最大保有12時間
- 対象期間:2026年8月7日〜8月21日
| 区間 | 取引数 | 勝率 | PF | 期待値 |
|---|---|---|---|---|
| 発見期間 8/7〜8/12 | 8回 | 87.5% | 5.35 | +0.489R |
| 別期間 8/13〜8/14 | 4回 | 75.0% | 9.66 | +0.457R |
| 未使用期間 8/17〜8/21 | 9回 | 77.8% | 2.17 | +0.283R |
全期間で21件と少ないため、完成ロジックではありません。ただ、同じ下方向の勢いを複数期間で拾えていた点は研究対象になります。
7. USDJPY:MACD + EMAショート
直近10日間のUSDJPYを対象に、MACDクロスとEMAの組み合わせを検証した候補です。
- 時間足:M5
- 条件:MACD(25・59・5)がシグナル線を下抜け
- 追加条件:EMA13がEMA18より下
- 追加条件:EMA13が下降中
- 方向:ショート
| 区間 | 取引数 | 勝率 | PF | 最大DD |
|---|---|---|---|---|
| 8/12〜8/14 | 8回 | 87.5% | 26.21 | 0.19R |
| 8/17〜8/19 | 11回 | 63.6% | 1.09 | 2.58R |
| 8/20〜8/21 | 9回 | 66.7% | 1.43 | 1.08R |
最初のPF26.21だけを見ると派手ですが、後半ではPF1.09、1.43まで落ちています。ここが重要です。強い数字は魅力的ですが、検証期間を分けると現実的な姿が見えます。
8. USDJPY:CCI + EMAショート
USDJPYの直近10日間の実tickデータで、CCIとEMAを組み合わせたロジックを10,000通り検証した候補です。
- 時間足:M5
- 条件:CCI(9)が-50を下抜け
- 追加条件:EMA13がEMA34より下
- 方向:ショート
期間を3つに分けた結果は、発見期間がPF28.24 / 9回、検証期間がPF1.57 / 14回、確認期間がPF1.37 / 8回でした。
こちらも発見期間の数字は大きいですが、後半では落ち着いています。それでもPF1以上を維持したため、短期の研究候補としては残す価値があります。
9. USDJPY:一目均衡表 + ATRショート
直近のUSDJPYで、下落方向に動きやすい場面を一目均衡表とATRで絞った候補です。
- 時間足:M5
- 条件:価格が一目均衡表の雲より下へ抜ける
- 追加条件:転換線が基準線より下
- 追加条件:値動きが極端に荒れていない
- 方向:ショート
- 対象期間:2026年8月11日〜8月24日
| 区間 | 成績 | 勝率 | PF |
|---|---|---|---|
| 最初の確認期間 | 8回中7勝1敗 | 87.5% | 4.34 |
| 次の検証期間 | 9回中7勝2敗 | 77.8% | 2.21 |
| さらに別の未使用期間 | 6回中4勝2敗 | 66.7% | 1.92 |
3期間合計では23回中18勝5敗。条件を増やしすぎず、下方向の環境を絞っている点が特徴です。
10. EURUSD:RSI + EMAロング
EURUSDでは、2026年8月12日〜8月21日の実Bid/Ask tick 40.6万件を使い、RSIとEMAの組み合わせを10,000通り検証しました。
| 候補 | 発見 | 検証 | 追加確認 |
|---|---|---|---|
| M1 RSI(7)が30上抜け + EMA13 > EMA26 | 7回 / 勝率71.4% / PF5.46 | 7回 / 勝率57.1% / PF1.86 | 6回 / 勝率66.7% / PF2.24 |
| M5 RSI(11)が65上抜け + EMA21 > EMA55 + 両EMA上向き | 5回 / 勝率80.0% / PF7.14 | 9回 / 勝率66.7% / PF2.00 | 5回 / 勝率80.0% / PF2.67 |
| M1 RSI(11)が40上抜け + EMA13 > EMA21 | 8回 / 勝率87.5% / PF6.75 | 4回 / 勝率75.0% / PF4.14 | 4回 / 勝率75.0% / PF10.50 |
EURUSDでは、今回の短期検証ではロング側に候補が残りました。ただし、取引回数はまだ少ないため、次の期間で固定条件のまま追跡する必要があります。
数字だけで飛びつかない
ここまで見ると、80%台の勝率やPF3以上の数字がいくつも出ています。ですが、ここで一番危ないのは、数字だけを見て「これを使えば勝てる」と思ってしまうことです。
短期検証では、たまたまその期間の相場に合った条件が強く見えることがあります。特に10,000通りのように大量の条件を試すと、その中に偶然良く見えるものが出るのは自然です。
料理でいえば、たまたま今日の食材に合った味付けが見つかっただけかもしれません。翌週、食材の鮮度や火加減が変われば、同じレシピでも味が変わります。
この記事で見てほしいこと
見てほしいのは、個別の数値そのものよりも、ロジックの組み立て方です。
- インジケーター単体ではなく、環境条件を重ねているか
- 上方向・下方向の偏りを分けて見ているか
- 発見期間だけでなく、別期間でも確認しているか
- コスト、スプレッド、スリッページを入れているか
- 取引回数が少ない数字を過信していないか
ロジックは、数字が良いものを拾う作業ではありません。相場の偏りを見つけ、その偏りに合う条件を作り、次の期間でも残るかを観察する作業です。
今後の見方
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